ゴルフ場利用税はゴルフ場所在地の市町村にその7割が交付金の形で入ります。
利用施設の所在地に落ちる点ではたばこ税と同じですが、ゴルフ場の立地は郊外や山間部の市町村に偏在する傾向があるため、それらの市町村では、偏在性の小さいたばこ税よりさらに重要な財源となっている可能性があります。
一方、スポーツの中でいまだにゴルフのみに課税されていることへの是非もあり、文科省をはじめ廃止論も根強くありますが、総務省や市町村は「重要な財源を失うことへの」おそれがあるとして反対しているとのことです。
ゴルフ場利用税を廃止へ(ゴルフダイジェスト) 2019年1月30日
https://news.golfdigest.co.jp/news/article/87454/1/
ここでは、総務省「平成30年度市町村別決算状況調」より、市町村別のゴルフ場利用税収入について見ていきます。
ゴルフ場利用税交付金の総額は
302億2,807億円
平成30年度にゴルフ場利用税交付金による収入があった市町村の数は
895※
※東京都特別区のうち江東、北、板橋、足立の4区を含む
東京23区を含む全国1,741市町村の半数以上が何らかの形でゴルフ場利用税交付金を受け取っていることになります。
ゴルフ場利用税交付金が最も多い市町村は
千葉県市原市(6億6,911万円)
次いで多いのは、
兵庫県三木市(5億4,232万円)
愛知県豊田市(3億6,184万円)
兵庫県神戸市(3億6,181万円)
栃木県栃木市(3億4,736万円)
滋賀県甲賀市(3億3,317万円)
兵庫県加東市(3億636万円)
などがゴルフ場利用税交付金総額の多い市町村です。
上記の市町村を含め、年間1億円を超える市町村数は55あります。
ゴルフ場利用税交付金が最も少ない市町村は
兵庫県香美町(33,000円)
1円以上のゴルフ場利用税交付金を得た市町村のうち、香美町の33,000円が最も少なかったことになります。
年間10万円未満の市町村数は4つ、10万円以上100万円未満の市町村数は23となっています。
ゴルフ場利用税の税率や課税対象は全国一律ではないため、利用されていても税収の低いゴルフ場も相当数あるものと考えられます。
住民1人当たりゴルフ場利用税交付金が最も多い市町村は
京都府笠置町(24,830円)
次いで、
京都府南山城村(20,815円)
山梨県鳴沢村(15,782円)
奈良県山添村(15,589円)
千葉県長南町(12,158円)
千葉県大多喜町(11,217円)
などが1人当たりゴルフ場利用税交付金の多い市町村です。
ゴルフ場利用税交付金の市町村歳入総額に占める割合が最も大きい市町村は
山梨県鳴沢村(2.3%)
市町村歳入とは、地方税や各種交付金、利子などの収入をすべて合わせたものです。歳入の2.3%がゴルフ場利用税から上がっていることになります。
2%を超える市町村は4、1%以上の市町村は17あります。
ゴルフ場利用税交付金が市町村たばこ税収入より大きい市町村の数は
20(2市8町10村)
たばこ税は市町村内にたばこを販売する施設に応じて取れるため、偏在性の比較的小さい税目です。20の市町村ではたばこ税よりもゴルフ場利用税からの収入が大きくなっています。
ゴルフ場利用税が法人市町村民税より大きい市町村の数は
15(5町10村)
法人市町村民税は地方税の中で特に偏在性の大きいもので、取れる市町村と取れない市町村の差が大きくなります。法人市町村民税が少ない市町村では、ゴルフ場利用税のほうが大きくなることもあります。
特に差の大きい京都府笠置町では、ゴルフ場利用税交付金3,307万円に対し法人村民税673万円と、ゴルフ場利用税が5倍近く多いことになります。