雑感

1年間に日本の港に入港した船の数と内訳

国土交通省「2018年港湾調査」より、1年間に日本の港に入港した船の数を見ていきます。

どんな「港」が集計に含まれているのか

上記「港湾調査」の対象は、調査用の区分である甲種(161港)、乙種(533港)の各港に入港した船舶です。

甲種港湾は港湾法(昭和25年法律第218号)第2条第2項に定める国際戦略港湾、国際拠点港湾、及び重要港湾など、入港船舶も貨物取扱量も大きい港です。乙種はそれ以外の港です。

乙種に指定されるのは、毎年5トン以上の入港1隻以上、または貨物取扱量50トン以上、というかなり低めの基準です。このため、小規模でも継続的に利用されている港はすべて乙種に含まれていると考えられます。

また、漁港に入港した漁船は含まれません。(漁港は農林水産省の管轄、港湾は国土交通省の管轄になり、集計の対象が異なるため)

どんな「船舶」をカウントしているか

総トン数5トン以上のみの船が集計対象になっています。自走しない船(櫓かい船や曳航される船)は5トン以上であっても集計対象外です。

1年間に日本の港に入港した船の数は

3,432,208隻

1日当たり、少なくとも約1万隻の船が日本のどこかの港に入港していることになります。
また、入港船舶の総トン数合計は39億1,234万トンとなります。

入港船舶で最も多い種類は

「商船」1,648,606隻

商船が約半数を占めます。

次いで
「漁船」839,727隻
「自動車航送船」(いわゆるフェリー)746,920隻
と続き、この3種類の合計で95%程度になります。

他のカテゴリーは
「避難船」6,233隻
「その他」190,722隻
がありますが、上記に比べると数は多くありません。

この調査には漁港が含まれないため、何らかの理由で港に入った漁船が数えられていると考えられます。

入港船舶に占める外航船の割合は

約3%

商船及び自動車航送船については、内航・外航それぞれの入港隻数がわかります。

それによると、外航船舶であることが分かるのは102,408隻(商船101,841隻、自動車航送船567隻)です。

入港船舶の約3%が外航船であることがわかります。

商船から水揚げされる貨物の年間総重量は

9億5,641万トン

※当該港での積み替えのみを目的とするトランシップ(T/S)分167万トンを含みます。

輸入貨物の内訳で最も多いのは

「鉱産品」4億9,080万トン

鉱産品は重量ベースで見た輸入貨物の約半分を占めています。

次いで多い5項目は以下のようになります。
「化学工業品」2億4,291万トン
「金属機械工業品」5,738万トン
「農水産品」4,718万トン
「雑工業品」4,416万トン
「林産品」3,525万トン

「鉱産品」で最も多い品目は

「石炭」1億8,170万トン

次いで
「原油」1億5,722万トン
「鉄鉱石」1億2,352万トン
が多く、「石炭」を合わせた3種類で9割以上を占めます。

その他、
「金属鉱」(鉄以外の鉱石)1,168万トン
「非金属鉱物」892万トン
「原塩」544万トン
などが重量の大きい品目です。

「化学工業品」で最も多い品目は

「LNG(液化天然ガス)」1億6,056万トン

LNGは「化学工業品」全体の約6割を占めます。

次いで多いのは以下の品目です。
「揮発油」2,052万トン
「化学薬品」1,310万トン
「染料・塗料・合成樹脂・その他化学工業品」1,181万トン
「LPG(液化石油ガス)」1,174万トン
「その他石油」1,005万トン

「農水産品」で最も多い品目は

「とうもろこし」(1,563万トン)

次いで
「麦」679万トン
「野菜・果物」662万トン
などが多い品目です。

「金属機械工業品」で最も多い品目は

「電気機械」1,207万トン

次いで多いのは以下の品目です。
「産業機械」756万トン
「金属製品」696万トン
「自動車部品」695万トン

「雑工業品」で最も多い品目は

「衣服・身廻品・はきもの」1,736万トン

次いで多いのは
「家具装備品」1,064万トン
「木製品」643万トン
などとなります。

商船によって輸出される貨物の年間総重量は

2億9,242万トン

※当該港での積み替えのみを目的とするトランシップ(T/S)分386万トンを含む量です。

重量ベースで見ると、海外との貨物のやり取りは1:3で輸入が多いことになります。

輸出貨物の内訳で最も多いのは

「金属機械工業品」1億6,474万トン

次いで多いのは以下のような品目です。
「化学工業品」6,804万トン
「特殊品」2,021万トン
「鉱産品」1,721万トン
「雑工業品」1,076万トン

「金属機械工業品」で最も多い品目は

「完成自動車」7,696万トン

次いで、
「鋼材」3,188万トン
「自動車部品」2,225万トン
「産業機械」1,665万トン
などとなります。

自動車関係のみで約1億トンとなり、船舶での輸出の1/3以上を占めることになります。

「化学工業品」で最も多い品目は

「化学薬品」1,943万トン

次いで多い品目は以下になります。
「染料・塗料・合成樹脂・その他化学工業品」(1,216万トン)
「その他石油」(1,201万トン)
「セメント」(722万トン)

「特殊品」で最も多い品目は

「再利用資材」831万トン

「金属くず」829万トンと合わせ、この2種類で約8割となります。

重量ベースでは、輸出重量の5%以上が生産の際に出たスクラップ等ということになります。

「鉱産品」で最も多い品目は

「砂利・砂」668万トン

次いで多いのは、

「非金属鉱物」524万トン
「石灰石」395万トン
などとなっています。

「雑工業品」で最も多い品目は

「ゴム製品」573万トン

次いで多いのは、
「衣服・身廻品・はきもの」124万トン
「その他日用品」113万トン
などとなっています。

船による輸出と輸入を重量ベースで比べてみると、「石炭」「LNG」「原油」「鉄鉱石」を輸入し、「自動車」「鋼材」「化学薬品」「産業機械」を輸出する、という日本の産業の特徴が改めて実感できます。

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