公共データ

日本の年間源泉徴収税額とその内訳

日本の年間源泉徴収額は

18兆6,250億円

ここでいう「源泉徴収」とは、給与所得以外にも、利子や配当所得、株式等の譲渡所得、退職金、医師や士業、作家、スポーツ選手等に支払われる報酬が含まれます。

ここでいう「源泉徴収」とは、給与所得以外にも、利子や配当所得、株式等の譲渡所得、退職金、医師や士業、作家、スポーツ選手等に支払われる報酬が含まれます。

国税庁「平成30年度租税及び印紙収入決算額調」

個人所得税全体に占める源泉徴収分の割合

83.2%
(所得税総額19兆9,006億円に対して)

所得税の8割以上は源泉徴収から得られていることがわかります。

以下、国税庁統計情報「源泉所得税」から、平成30年(2月から平成31年1月まで)に提出された分の税額内訳をみていきます。上の決算額とは定義が異なるため注意してください。

給与所得から発生する源泉徴収税額

11兆1,800億円

源泉徴収額のうち最も大きいのは給与所得であり、全体の60%を占めます。

源泉対象となった給与の支払総額は

288兆9,451億円

このうち、民間分が261兆7,694億円と9割近くを占め、官公庁分(独法などを含む)が残りの27兆1,757億円です。

上記支払総額の約3.9%が源泉徴収税となっています。

上記の給与支払総額を平成30年度の国民所得(404.3兆円)と比べると、その7割強に当たります。 ※国民所得には、他に「財産所得」27.0兆円、「企業所得」92.5兆円があります。

配当所得から発生する源泉徴収税額

4兆5,686億円
(源泉徴収税全体の24.5%)

源泉対象となった配当支払総額は

36兆9,845億円

上記は課税分24兆7,185億円、非課税分12兆2,660億円の合計です。

配当支払総額の12.4%が源泉徴収されていることになります。

「報酬・料金等」から発生する源泉徴収税額

1兆2,115億円

これには、以下に表す多くの種類の収入が含まれています。

源泉徴収対象となった報酬・料金等の支払総額は

53兆9,798億円

「報酬・料金等」のうち支払総額が最も大きいのは

公的年金
(40兆3,634億円;「報酬・料金等」全体の30.0%)

「生命保険契約等に基づく年金」(5兆4,326億円)を合わせると45兆7,960兆円となり、「報酬・料金等」の支払総額の85%弱を占めることになります。

支払総額でみると「報酬・料金等」は配当所得より大きいですが、源泉徴収される税額は配当所得の3分の1以下になっています。これは、税率の低い年金収入の割合が高いからです。

「報酬・料金等」のうち、年金以外の区分

以下の区分はデータ上細かく分かれていますが、「所得税法」第204条に基づく区分であり、国税庁発表の統計もそれに従っています。ここでは支払総額の高いほうから列挙します。

弁護士・税理士等の報酬又は料金(2兆1,969億円)

弁護士・税理士以外にも、公認会計士、司法書士、建築士、不動産鑑定士、中小企業診断士などほとんどの士業の報酬が含まれます【第204条1項2号】

源泉徴収額は2,610億円(支払総額の11.9%)です。

職業野球の選手、騎手、外交員等の報酬又は料金(2兆1,066億円)

野球・競馬以外にも、サッカー、テニス、ゴルフ、ボクシング、競輪などのプロスポーツの年俸、および賞金がここに含まれます。一方、「契約金」は別の項目です。⇒第204条1項7号
また、「外交員」とは保険外交員や集金人などを指し、報酬のうち歩合給の部分のみ含まれます(定額給与の部分は給与所得になります)。ファッションモデルへの報酬もここに入ります【第204条1項4号】

源泉徴収額は1,395億円(支払総額の6.6%)です。

診療報酬(1兆8,159億円)

医療に対して支払われる報酬です【第204条1項3号】

源泉徴収額は1,545億円(支払総額の8.5%)です。

原稿料、作曲料、放送謝金、講演料等の報酬又は料金(1兆840億円)

「原稿料」にはイラストや挿絵に対する謝金、翻訳・通訳・校正・速記などへの謝金も含みます。また、商業デザインへの報酬や、著作権(著作隣接権)使用料、技能やスポーツ教授への謝金なども含まれます。投資助言業務もここに入ります【第204条1項1号】

源泉徴収額は1,356億円(支払総額の12.5%)です。

バー、キャバレーのホステス等への報酬又は料金(4,359億円)

ホステスやコンパニオンに支払われる料金です【第204条1項6号】

源泉徴収額は264億円(支払総額の6.0%)です。

芸能等についての出演、演出等の報酬又は料金(3,582億円)

映画、演劇、演奏その他の芸能活動(演出、振付などを含む)への報酬や、芸能人に対する報酬が含まれます。テレビ出演等への対価も入りますが、仲介やあっせんに係る金額は含まれず、また、著作隣接権の対象となる活動の対価も含まれません。【第204条1項5号】

源泉徴収額は393億円(支払総額の11.0%)です。

契約金・賞金(1,311億円)

野球選手等の契約金【第204条1項7号】、および「事業の広告宣伝のための賞金」(たとえば、プレゼントキャンペーンの賞品や賞金など)が含まれます。ただし、商品が旅行等の役務である場合、事業と関係のない公益性のある賞、あるいは社内で社員に与える賞などは入りません。
馬主に与える競馬賞金の一部(対象が内国法人でない場合)もここに入ります【第204条1項8号】

源泉徴収額は90億円(支払総額の6.8%)です。

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