公共データ

日本の年間商標出願件数とその内訳

特許庁「特許行政年次報告書〈統計・資料編〉」2020年版より、年間商標出願件数、登録件数などの数を見ていきます。

※以下の数値は、特に断りのない限り2019年1月~12月の値となります。
国際出願(PCT出願)を含まない日本国内で通用する商標のみを扱います。PCT出願とは、海外の国で商標登録を行いたい場合に、日本の特許庁を通して出願する方式のことです。

年間商標出願件数は

190,773件

2019年の年間商標出願件数は19万件程度です。

ここから審査官による最初の審査が行われ、登録査定又は拒絶理由通知書が出願者に送付され(「ファーストアクション」と呼ばれます)、必要に応じて修正を行い再申請後、登録査定が行われて登録となります。

商標出願件数は2010年には113,519件でしたが、10年で倍近くになり、2017年以降は19万件程度となっています。

うち出願人が外国法人である割合は

21.9%(41,860件)

商標出願から「ファーストアクション」までの平均期間は

9.5か月

商標出願から何らかのレスポンスが得られるまで9か月程度かかることになります。

(参考)https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2020/document/index/0201.pdf

特に2017年以降の商標出願件数の増加に伴い、出願から登録に至るまでの期間は2017年の5.6か月から19年の9.5か月へと顕著に長期化しています。

年間商標登録件数は

109,589件

2019年の出願件数は19万件である一方、実際に登録された商標は11万件となります。

上記のように出願から登録までには時間がかかるため、登録されていない出願も拒絶されたわけではなく、2020年以降に持ち越し(審査中)の割合が高いものとみられます。

商標出願区分で最も多いものは

「35_広告」51,148件

商標登録を出願する際には、必ず商標を利用したい「区分」を明記する必要があります。区分は全部で45あり、複数の区分を同時に出願することができます。

商標の利用対象として最もよく選ばれる区分は「広告」であり、出願件数の約10%を占めています。

次いで多いのは以下のような区分です。
「9_理化学・配電・電気通信機器」48,479件
「41_教育、娯楽」41,643件
「42_機械の設計」40,618件
「45_婚礼のための施設の提供、施設の警備」27,694件
「紙、事務用品」26,702件
「金融、保険、不動産」25,548件
「輸送」20,754件

商標を最も多く登録する会社は

株式会社サンリオ(470件)

2019年の登録件数ではサンリオが490件でトップとなっています。

次いで、花王株式会社(469件)、株式会社資生堂(385件)が多くなります。

上記の3社は2015年以降常に登録件数トップ3となっています。(年ごとの入れ替わりはあります。たとえば、2018年では資生堂が545件で1位、サンリオ449件で2位、花王は318件で3位でした。)

TOP3に次いで、10位までには以下の会社が含まれます。
ジャス・インターナショナル株式会社※1(271件)
小松マテーレ株式会社(252件)
パナソニック株式会社(217件)
有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド※2(210件)
株式会社コーセー(201件)
三菱電機株式会社(186件)
江崎グリコ株式会社(162件)

※1 ライセンスビジネス企業です。
※2 いわゆる「スマイリーフェイス」を創作したハーベイ・ボール氏に関連する会社です。

商標出願が最も多い都道府県は

東京都(56,921件;38.2%)

日本人による商標出願件数148,913件のうち東京都から出願されたものが4割近くを占めます。

次いで多い大阪府(39,884件;26.8%)と合わせ、出願件数の3分の2が東京、大阪から出ています。

商標出願は本社所在地から出ることが多いため、この分布は本社機能の分布とも言えます。

他に多い都道府県は以下のようになります。
愛知県(5,694件;3.8%)
神奈川県(5,485件;3.7%)
兵庫県(3,568件;2.4%)
福岡県(3,234件;2.2%)
京都府(3,103件;2.1%)
埼玉県(2,612件;1.8%)
千葉県(2,348件;1.6%)
北海道(1,957件;1.3%)

最も出願が少なかったのは島根県の200件となっています。

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