公共データ

年間の市区町村間住民票移動数と内訳

総務省「住民基本台帳人口移動報告(年報)」より、1年間に市区町村間で住民票を移した人(引っ越した人)の数をみていきます。

※以下、2019年1月~12月の数値になります。

※「市区町村」とは、政令市内の各区(札幌市中央区など)がそれぞれ別の単位として扱われることを指します。つまり、札幌市内の区をまたいだ住民票の移動も含まれます。

年間の市区町村間住民票移動数は

540万3,465人

※外国人住民を含む総数。なお、以前の住所不詳者および転出から転入の期間が1年以上の人は含まれません。

日本人口の5%程度が1年の間に市区町村間で住民票を移したことになります。

うち異なる都道府県間の移動数は

256万8,086人(47.5%)

都道府県内の他市区町村への移動と都道府県をまたいだ移動がおおむね半々であることがわかります。

5歳刻みで見たとき、移動者が最も多い年代は

25~29歳(104万5,034人;19.3%

次いで多い順に、

20~24歳(101万2,483人;18.7%)
30~34歳(731,045人;13.5%)
35~39歳(468,372人;8.7%)
40~44歳(321,262人;5.9%)
0~4歳(320,222人;5.9%)
15~19歳(284,543人;5.3%)
となっています。

20代の移動数が全体の4割近くを占め、それ以降は年齢が上がるほど移動数が少なくなります。

0~4歳の移動数が多いのは、親に伴って移動する子供が多いからとみられます。一方、5~9歳は136,956人、10~14歳は74,338人と、学校にあがる年代になると移動数は顕著に少なくなります。

移動者のうち65歳以上の割合は

5.9%(320,130人)

65歳以上は人口の28.4%を占めていますが、移動者に占める割合はその5分の1程度です。

市区町村間移動者の男女比は

男1.14:女1(288万2,778人:252万687人)

移動者のうち男性の割合が最も多い年代は

55~59歳男1.43:女1;81,647人:57,104人)

次いで男女の開きが大きい年代は、

50~54歳(男1.40:女1;112,106人:79,922人)
45~49歳(男1.40:女1;151,030人:107,912人)
60~64歳(男1.39:女1;57,833人:41,507人)
40~44歳(男1.37:女1;185,398人:135,864人)

となっています。

40歳~65歳の男性比率が特に高いのは、転勤や転職等での他地域への移動が比較的多いことや、子どもを転居させずに自分のみが移動する単身赴任の影響が大きいとみられます。

なお、70歳を超えると女性の移動数のほうが多くなります。最も女性比率が高いのは90歳以上で、男0.30:女1(7,249人となります。

年間の転入超過数がプラスの市区町村数は

564(全1,896市区町村の29.8%)

転入超過数とは、年間の転入者数から年間転出者数を引いた数です。

転入者のほうが1人以上多い市区町村は全体の3割です。その他、差し引き0の市区町村が7あり、残りの7割の市区町村は転出のほうが多くなっています。

年間転入超過数が最も多い市区町村は

東京都世田谷区(7,509人

次いで多い市区町村を10位まで上げます。

東京都練馬区(6,340人)
東京都品川区(6,012人)
東京都大田区(5,336人)
千葉県流山市(4,353人)
東京都杉並区(4,215人)
東京都中央区(4,127人)
千葉県柏市(4,000人)
東京都板橋区(3,860人)
東京都足立区(3,721人)

上位には東京都特別区が多く並びます。東京23区では新宿区(-1,827人)、豊島区(-273人)のみ流出超過であり、他の21区はプラスになっています。

一方、全年代で流入超かといえかと言えばそうではなく、年代別に見ると1~4位(世田谷・練馬・品川・大田)、6位杉並区の60歳以上はいずれも流出超過となっています。

また、0~4歳の子供の人口も練馬区を除き流出超となっている傾向があります。続いて、0~4歳の子供人口と65歳以上の高齢者人口についての転入をみていきます。

0~4歳の転入超過数が最も多い市町村は

千葉県柏市(608人

次いで多い市町村を10位まで挙げます。

千葉県印西市(544人)
千葉県流山市(500人)
東京都町田市(459人)
北海道江別市(382人)
東京都八王子市(347人)
滋賀県大津市(341人)
神奈川県藤沢市(332人)
大阪府吹田市(306人)
福岡県福津市(285人)

各都市圏ごとに、子育てのための郊外への流出が明確に出ているように見えます。特に東京圏では、柏、印西、町田、八王子、藤沢など都心からやや離れた市への流入が多くなっています。

これも流入元データを確認の上、地域ごとに見てみる必要があります。

65歳以上の転入超過数が最も多い市町村は

北海道札幌市中央区(660人

東京都八王子市(623人)
北海道札幌市豊平区(364人)
福岡県福岡市東区(357人)
群馬県高崎市(351人)
東京都青梅市(348人)
北海道札幌市手稲区(同338人)
千葉県柏市(338人)
大阪府大阪市平野区(同338人)
愛媛県松山市(324人)

65歳以上の流入超で札幌市の区が多いのは、生活や医療の利便性を求めた道内各地からの転居が多いからと考えられます。転入元別のデータをもとに、地域別に改めて見ていきます。

他の上位都市も同様に、近隣市町村から暮らしやすさを求めて集まる傾向がうかがえます。

年間転入超過数が最も少ない市区町村は

栃木県小山市(‐3,534人

次いで少ない市区町村を10位まで上げます。

千葉県成田市(-3,272人)
長崎県長崎市(-2,887人)
茨城県取手市(-2,841人)
大阪府岬町(-2,712人)
広島県福山市(-2,569人)
愛知県豊橋市(-2,525人)
栃木県古河市(-2,373人)
愛知県名古屋市南区(‐2,271人)
岐阜県羽島市(-2,200人)

元の人口が多いほうが流入・流出ともに自然大きくなるため、上位には地方都市が集まります。これらの市区町では、基本的に全年代で人口が減少しています。

名古屋市全体では3,415人の+ですが、南区からの人口流出は全国でも上位になっています。

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