公共データ

「機械受注統計調査」の内訳

内閣府から毎月発表される「機械受注統計調査」の結果は、設備投資を先行指標とする現状の景気動向を見るうえで重要なものとなっています。

ここでは、機械受注の9つの大区分と出荷額の割合、および最も変動の大きい(小さい)区分がなんであるかを見ていきます。

機械受注統計調査とは

ここでは要約のみ示します。詳細は内閣府の該当ページをご覧ください。

機械等製造業者に対して、月別の受注状況、および発注者(需要者)の属性を調査票で質問、回答を集計するものです。

誰がどれだけ機械を発注しているか確認することで、受注の増減が民需、海外、官公需のどこから来ているかなどを明らかにするものです。

どんな企業が回答するのか

原動機、重電機、電子・通信機械、産業機械、工作機械、鉄道車両、道路車両、航空機、船舶の9つの大分類に属する機械等の製造業者について、販売額・出荷額で測られるそれぞれのカバレッジが80%以上になるよう回答者を選択しています。回答企業は基本的に固定のようです。

9つの大区分それぞれの受注額割合

2019年度(2019年4月~20年3月)の受注額を割合の大きい順に示します。

※以下の受注額は調査対象企業の合計値であり、産業全体の値ではありません。

調査対象企業の年間総受注額27兆3,908億円に対して、

「電子・通信機械」33.8%(9兆2,554億円)
「産業機械」28.6%(7兆8,247億円)
「原動機」9.4%(2兆5,801億円)
「重電機」8.0%(2兆1,827億円)
「道路車両」5.4%(1兆4,737億円)
「航空機」4.9%(1兆3,407億円)
「船舶」3.5%(9,508億円)
「鉄道車両」3.3%(9,007億円)
「工作機械」3.2%(8,819億円)
となっています。

受注額ベースで見ると「電子・通信機械」が3分の1、「産業機械」と合わせると6割を超えることになります。これらの受注状況が景気予測(および、メディアを通した実際の景況感)に大きく影響することになります。

一方、「船舶」「航空機」「鉄道」などが全体に与える影響は合計しても1割程度です。

発注者の属性

同時期(2019年5月~の発注者属性について見ていくと以下のようになります。

調査対象企業の年間総受注額27兆3,908億円に対して、

外需37.3%(10兆2,145億円)
代理店5.2%(1兆4,307億円)
内需57.5%(15兆7,457億円)
で合計100%となります。

機械受注には外需分が約3分の1含まれており、この分は海外の景気に左右されることがわかります。

内需分の内訳は

受注総額に対する内需57.5%の内訳は以下のようになっています。

官公需11.8%(3兆2,209億円)
【民需】製造業16.0%(4兆3,917億円)
【民需】非製造業29.7%(8兆1,330億円)

官公需の内訳は

官公需分11.8%の内訳を多い順に並べると以下のようになります。

地方公務3.8%(1兆370億円)
防衛省2.9%(8,009億円)
国家公務1.8%(5,005億円)
運輸業0.5%(1,464億円)

その他2.7%(7,362億円)

官公需向けの機械受注では、地方公務および防衛省分の割合が大きいことがわかります。

製造業の内訳は

以下、製造業の業種を金額上位10位まで見ていきます。

はん用・生産用機械器具製造業3.3%(9,127億円)
電気機械器具製造業2.7%(7,417億円)
自動車・同付属品製造業1.7%(4,612億円)
化学工業1.0%(2,787億円)
造船業0.82%(2,240億円)
その他輸送用機械器具製造業0.67%(1,835億円)
情報通信機械器具製造業0.65%(1,785億円)
鉄鋼業0.53%(1,447億円)
食品製造業0.45%(1,227億円)
金属製品製造業0.41%(1,124億円)

製造業では「生産機械」「電気機械」が「自動車」より大きくなっています。

「機械受注統計調査」の指標としての役割上、完成品よりも中長期の設備投資の比重が高いことがここからもうかがえます。

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