市町村税の総額は
20兆1,313億円
「令和2年版地方財政白書」によると、平成30年度の全国市町村が徴収した市町村税の合計は20兆1,313億円です。
市町村の歳入全体に占める市町村税の割合は
33.6%
市町村税は、国庫支出金や地方債などをすべて含む市町村の歳入（59億8,909億円）のほぼ3分の1にあたります。
市町村の一般財源に占める市町村税の割合は
63.7%
市町村税は、市町村歳入のうち各市町村が自由に使途を決められる一般財源（31兆5,866億円）の約3分の2を占めます。
一般財源には他に各種交付金もありますが、歳入の不均衡を解消するための地方交付金（7兆9,805億円）が最も大きい項目です。いわば多くの市町村では、地方交付金によって赤字をまぬかれている現状があります。
市町村税額より地方交付税額が多い市町村の数
981（283市540町158村）
※地方交付税は普通交付税、特別交付税、震災復興特別交付税の合計
※地方特例交付金は除く
全国市町村の半分以上は、市町村税よりも地方交付税額のほうが大きくなっていることがわかります。
市町村税額に対するふるさと納税の比率は
約100：1
平成30年度では、9村を除く全国の1,709市町村でふるさと納税による収入があり、その合計は1,756億2,936万円※となります。
※市町村分のみ、平成31年3月31日現在
同時期の市町村税総額と比較すると、約100：1の割合となります。
市町村税額よりふるさと納税額が多い市町村の数
10（すべて村）
一方、10の村ではふるさと納税額のほうが市町村税額より多くなっています。
ふるさと納税の比率が最も高いのは和歌山県北山村であり、市町村税7,459万円に対して14億3,277万円のふるさと納税を集め、その割合は1：19.2となっています。
その他の9市町村は、ふるさと納税の規模が大きい順に長野県小谷村（1：5.6）、福岡県赤村（1：4.7）、徳島県佐那河内村（1：2.7）、奈良県曽爾村（1：2.6）、福島県中島村（1：2.0）、沖縄県多良間村（1：1.6）、高知県芸西村（1：1.4）、岡山県新庄村・長野県豊丘村（1：1.1）となっています。
もともとの財政規模や立地環境を問わず、創意工夫で寄付金を集めることができることはふるさと納税の魅力といえます。
以下、自治体の歳入全体に占める市町村税の各税項目の割合を、「平成30年度市町村別決算状況調」をもとにみていきます。
※ここでは、法人税、固定資産税が都税として徴収される東京都特別区を除く1,718市町村を対象とします。
市町村税のうち最も割合が大きい税目は
固定資産税（38.8%；7兆8,404億円）
※東京都特別区を除く金額です。
全市町村の合計金額でみると、市町村税のうち最も大きい項目は固定資産税です。
これに次ぐ市町村民税個人分（38.8%；7兆1,001億円）、市町村民税法人分（1兆7,254億円）も大きな項目であり、この3項目で全体の9割近く（87.5%）を占めます。
その他、都市計画税（1兆509億円）、市町村たばこ税（7,735億円）などがあります。
地方税に占める固定資産税の割合が最も大きい市町村は
群馬県上野村（96.8%）
税収の96.8%が固定資産税となっています。
次いで多いのは長野県南相木村（93.8%）、北海道泊村（93.7%）、福島県桧枝岐村（92.8%）、宮崎県木城町（91.5%）、北海道京極町（89.3%）などとなっています。
固定資産税の割合が特に大きい市町村は、いずれもダムや発電所などが存在する場所になります。これらの市町村の財政力指数も顕著に高くなっています。
個人市町村民税の割合が最も大きい市町村の数は
321（169市124町28村）
全国1,718市町村の2割弱を占める321市町村では、地方税全体に占める個人市町村民税の割合が最も高くなっています。
上記321市町村のうち、最も割合が大きいのは北海道猿払村（72.8%；7億968万円中5億1,632万円）です。次いで多いのは、大阪府豊能町（58.7%）、東京都小笠原村（56.4%）、北海道利尻町（55.0%）、青森県平内町、兵庫県芦屋市（54.8%）などとなります。
法人市町村民税の割合が最も大きい市町村の数は
３（1町2村）
割合の大きい順に、山梨県山中湖村（45.9%）、山梨県忍野村（41.7%）、福島県矢祭町（40.3%）となります。
個人住民税や固定資産税と比べて法人税は年ごとの変動が大きいですが、この1町2村は毎年法人税収入が特に高くなっています。
ここからは、「住民1人当たりの市町村税額」としたうえで、地域による違いを見ていきたいと思います。
