公共データ

労働時間、裁量労働制の業種別特徴

厚生労働省「平成31年就労条件総合調査」より、
企業の年間休日日数や労働時間制度等について業種ごとに比較してみます。

※元データは標本調査であり、また実数値ではなく比率や傾向を読むデータになります。調査対象6,405企業、有効回答率は64.4%です。

年間平均休日日数

まず、1企業の平均年間休日総数は下表のようになっています。

情報通信業、金融業・保険業で120日を超える一方、「宿泊業・飲食サービス業」では98日

情報通信業、金融業・保険業で120日を超える一方、
宿泊業、飲食サービス業では98日となり、
最も多い業種と少ない業種では20日前後の差があります。
運輸業・郵便業や生活関連サービス業・娯楽業、小売業でも
年間休日数は少ない傾向があります。

平均所定労働時間では、「複合サービス事業」「生活関連サービス業・娯楽業」、「金融業・保険業」の3業種が7時間40分未満と短い一方で、「製造業(機械関連、素材関連)」では7時間50分以上と高くなっています。

年間休日総数と週休2日制採用率との関係

週休2日制との関係で見ると、年間休日日数が少ない「宿泊業、飲食サービス業」では週休1日制・1日半制をとっている会社の割合が27.4%、ならびに完全週休2日制より休日が短い会社の割合が48%と高く、合計して75%以上の企業が週休2日未満であることがわかります。

同じく年間休日総数の少ない「運輸業・郵便業」、「生活関連サービス業、娯楽業」でも過半数の企業が週休2日未満となっています。

一方で、「金融業・保険業」では93.5%、「情報通信業」では86.4%の企業が完全週休2日制かそれ以上の休日日数を確保しています。

みなし労働時間採用率

採用企業の割合では情報通信業が35.4%で最も高い

みなし労働制を採用している企業の割合は「情報通信業」で35.4%と最も高く、次いで「卸売業」27.2%、「学術研究、専門・技術サービス業」の25.8%と続きます。

みなし労働が適用される労働者の割合では「卸売業」14.9%が最も高い

一方で、みなし労働制の対象となる労働者の割合では「卸売業」が最も高く14.9%、「学術研究、専門・技術サービス業」14.5%、「情報通信業」13%となりトップが逆転します。

「情報通信業」では専門業務型の裁量労働を採用している企業の割合は高い一方、実際に社内でみなし労働が適用される社員数はあまり多くないことがわかります。一方で、「卸売業」や「学術研究、専門・技術サービス業」では
「事業所外みなし労働時間制」の対象となる社員の数が多くなっています。

年次有給休暇の計画付与制度採用率

「製造業(機械関連)」が39.5%で最も高い

年次有給休暇の計画的付与制度の有無で見ると、「製造業(素材、機械関連)」や「金融業、保険業」での採用率が特に高くなっています。

一方で、特に製造業における平均付与日数は3.9日(素材関連)、4.7日(機械関連)と、あまり高い水準ではありません。

年次計画有給休暇の付与日数が多いのは「教育・学習支援業」が最も高く6.5日、次いで「生活関連サービス業・娯楽業」6.4日、「運輸業・郵便業」6.3日 となっています。

「生活関連サービス業・娯楽業」や「運輸業・郵便業」では
年間休日日数が比較的少ない分、計画的年次有給休暇が多くなっているとみられます。

  • おすすめの投稿がありません