公共データ

在外公館で発行された訪日ビザ総数および「短期滞在」ビザの内訳

外務省「ビザ(査証)発給統計」により、2019年1月~12月に発給された訪日ビザの枚数を見ていきます。

2019年の訪日ビザ発行枚数は

827万7,430枚

※数次ビザ(同一ビザが延長更新された数)118万109枚を含みます。

在外公館におけるビザ発給総数は2009年に140万枚でしたが、その後の10年で6倍近くになっています。

訪日ビザを発給した在外公館の数は

236※

2019年に1枚以上の査証を発行した在外公館の数は、大使館150、総領事館65、領事事務所19、および在交流協会事務所(台湾)2の合計236です。

訪日ビザ総数に占める「短期滞在」ビザの割合は

92.9%(769万798枚)

発給されるビザのうちほとんどは短期滞在ビザ(主に観光・商用、家族訪問などで利用)で、2018年では発行数の93%を占めます。

多くの国では訪日に当たり短期滞在ビザが不要となっています。短期滞在ビザを必要とするのは、主に中国からの観光客です。

「短期滞在」以外のビザを多い種別から挙げると以下のようになります。

「技能実習」190,983枚(2.3%)
「留学」121,851枚(1.5%)
「興行」46,764枚(0.56%)
「技術・人文・国際」45,241枚(0.55%)
「家族滞在」32,410枚(0.39%)
「公用」26,128枚(0.32%)
「ワーキングホリデー」18,955枚(0.23%)
「定住者」17,781枚(0.21%)
「研修」13,187枚(0.16%)
「日本人の配偶者等」10,766枚(0.13%)
「企業内転勤」10,253枚(0.12%)

その他、各1万枚未満の区分合計 52,506枚(0.63%)

次いで、最も多い「短期滞在」ビザについて内訳を見ていきます。

「短期滞在」ビザ発給数が最も多い国籍は

中国(香港除く)640万3,334枚

全体のビザ発給数に占める「中国からの短期滞在」の割合は8割を超えています。

次いで多い国籍を10位まで挙げると以下のようになります。
フィリピン 397,124枚
インドネシア 222,068枚
ベトナム 196,724枚
インド 110,985枚
ロシア 91,050枚
ブラジル 39,078枚
カンボジア 20,189枚
モンゴル 20,147枚
南アフリカ共和国 16,312枚

「短期滞在」の場合、観光・商用目的の訪日ビザが免除されている国が多くあり、その場合はビザ発給数に含まれません。

たとえば、同じ東南アジアでも、タイやマレーシアは2015年以降観光目的の短期滞在ビザが免除されているため、上位に入ってきません。

※現在短期滞在ビザを必要とする国、地域は外務省のページで確認できます。

中国で「短期滞在」ビザ発給数の最も多い公館は

在上海総領事館 249万1,406枚

次いで多い順に、
在中華人民共和国総領事館 164万3,296枚
在広州総領事館 113万3,468枚
在重慶総領事館 38万235枚
在瀋陽総領事館 25万805枚
在青島総領事館 24万7,345枚
在大連領事事務所 15万1,987枚

各国の大使館にはその国内で管轄する地域というものがあり、邦人も外国人も基本的に管轄地域内の公館で手続きを行うことになっています。
最新の管轄地域リストはここから確認できます(外務省)。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/zaigai/list/kankatsu.html

中国には7つの在外公館がありますが、1市4省(上海市、江蘇省、浙江省、安徽省、江西省)、合計人口約2.7億人※を管轄する在上海総領事館が最も短期滞在ビザを多く発給しています。

上海の2倍近い管轄人口(5.05億人※)を持つ北京の在中華人民共和国大使館はそれより少ないことを考えると、上海周辺の相対的な経済発展の程度や、それによる訪日客の多さがうかがえます。

※いずれもNational Bureau of Statistics of Chinaによる2018年人口

中国以外のアジア地域で「短期滞在」ビザ発給数の最も多い公館は

在フィリピン大使館 405,335枚

在インドネシア総領事館 146,016枚
在ホーチミン総領事館 106,903枚
在ベトナム大使館 83,196枚
在シンガポール大使館 33,110枚
在ムンバイ総領事館 29,266枚
在香港総領事館 28,744枚
在スラバヤ総領事館 27,574枚
在インド大使館 23,304枚
在メダン総領事館 20,069枚

この地域の訪日外客数では韓国、タイが多いですが、短期滞在ビザを必要とする国ではフィリピン、次いでベトナム、インドネシアの公館が最も多くなります。

アフリカ地域で「短期滞在」ビザ発給数の最も多い公館は

在南アフリカ共和国大使館 10,148枚

次いで多いのは以下の公館となっています。
在ケープタウン領事事務所 3,540枚
在モロッコ大使館 1,470枚
在ナイジェリア大使館 877枚
在ウガンダ大使館 808枚
在ガーナ大使館 761枚
在セネガル大使館 655枚
在エチオピア大使館 596枚
在カメルーン大使館 523枚
在アルジェリア大使館 516枚

アフリカの多くの国には1国1つの公館があります(その国に公館を持たず、他国の公館が兼轄している場合もあります)。

南アフリカは首都プレトリア(在南アフリカ共和国大使館)とケープタウンの2つの公館を持っており、また、在南アフリカ共和国大使館はエスワティニ、レソトの2国も管轄に入っているため、上記の順位となっています。

欧州地域で「短期滞在」ビザ発給数の最も多い公館は

在ロシア大使館 42,649枚

次いで多いのは以下の公館となっています。
在ハバロフスク総領事館 11,738枚
在英国大使館 7,113枚
在サンクトペテルブルク総領事館 6,485枚
在ウクライナ大使館 6,100枚
在ユジノサハリンスク総領事館 6,091枚
在カザフスタン大使館 4,140枚
在ミュンヘン総領事館 1,662枚
在ベラルーシ総領事館 1,545枚
在オランダ大使館 1,511枚

欧州圏では旧CIS諸国以外が訪日に当たり短期滞在ビザを必要としません。そのため、欧州地域で短期滞在ビザ発給数が多いのはロシアの大使館となります。

アメリカ地域で「短期滞在」ビザ発給数の最も多い国は

在サンパウロ総領事館 19,663枚

南北アメリカのほとんどの国が訪日短期滞在ビザを免除しているため、数としては少なめになります。

在サンフランシスコ総領事館 8,965枚
在ニューヨーク総領事館 8,589枚
在コロンビア大使館 6,832枚
在ロサンゼルス総領事館 6,664枚
在トロント総領事館 5,112枚
在リオデジャネイロ総領事館 4,678枚
在バンクーバー総領事館 4,650枚
在クリチバ総領事館 3,761枚
在シアトル総領事館 3,016枚

次の記事では、「技能実習」ビザ発給数について見ていきます。

「技能実習」ビザの在外公館発給数と国籍・公館別内訳 前の記事に続き、外務省「ビザ(査証)発給統計」をもとに訪日ビザの国籍・公館別内訳を見ていきます。 ここでは、「短期滞在」に続き2...
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