雑感

日本で操業する外資系企業の数と内訳

経済産業省「外資系企業動向調査第53回」より、2019年3月31日現在の外資系企業の数と内訳をみていきます。

日本で操業する外資系企業の数は

3,290社※1~5,542社※2(2019年3月末時点)

※1 「操業中」3,287社および「設立後初決算前」3社を含む

※2 調査対象であるが未回答の企業をすべて操業中とみなした数

なぜ「大まかな」表現になるかといえば、この調査への回答率が6割程度だからです。

実際に操業中なのか、操業を中止したのか、撤退しているのかの状況はこの調査の回答で初めて判明するため、無回答の企業については「操業中である」を判断することができません。

実際には多くの企業が操業中であると思われますが、経済センサスなど、別のデータベースから判断する必要があります。

外資系企業の定義

この調査で「外資系」とされているのは以下の企業です。

①②いずれの条件も、株式または持分3分の1以上、かつ、筆頭出資者の出資比率10%以上、という定義になっています。機関投資家などによって海外持分が多い企業を除外し、特定の企業の子会社または関連会社のみに絞りたい意図だと思われます。

①外国投資家が株式又は持分の3分の1超を所有している企業であって、外国側筆頭出資者の出資比率が10%以上である企業 

②外国投資家が株式又は持分の3分の1超を所有している国内法人が出資する企業であって、外国投資家の直接出資比率及び間接出資比率の合計が3分の1超となり、かつ、外国側筆頭出資者の出資比率が10%以上である企業

以下、上記数値のうち「操業中」と回答のあった3,287社に絞って内訳をみていきます。

外資比率50%以上の企業が調査対象の約9割

「外資系企業動向調査」では、上で見たように外資比率1/3以上の企業が対象となっていますが、実際の外資比率についてもざっくりと知ることができます。

外資比率をみると、3,287社のうち100%外資の企業(2,457社)が6割以上を占めており、「50%以上100%未満」も495社となり、調査対象の9割程度の企業は外資比率が過半数となります。

調査対象をそのように定義しているのである意味当然とも言えますが、この調査の対象企業は、ほぼ外資が経営の主導権を握っている企業と考えて間違いなさそうです。

もっとも、業種別(日本標準産業分類)に見ると、外資比率にはややばらつきがあります。

「鉄鋼」(4社すべて)「木材紙パ」(3社すべて)の2業種はすべて外資過半数の企業ですが、「繊維」(13社中9社)、「化学」(72社中48社)などの業種では、外資が過半数を超えない企業も3割程度存在しています。

外資系企業は「卸売業」が全体の4割近く

「日本標準産業分類」による区分で、「操業中」外資系企業3,287社のうち最も多いのは「卸売業」(1,270社)であり、全体の4割近くを占めています。次いで多い順に、「サービス業」535社(16.3%)、「製造業」516社(15.7%)、「情報通信業」370社(11.3%)と続きます。

「経済センサス」を見ると、内資を含む日本全国の企業数では「小売業」が最も多くなっていますが、外資系企業に占める「小売業」は169社(全体の5.1%)と割合としては小さくなっています。外資系は主にBtoB領域での存在感が高いと言えます。

外資系企業の母国籍はアメリカ(760社)、ドイツ(345社)が多い

地域区分で見ると、外資系企業の母国籍は「ヨーロッパ系」が最も多く1,421社(43.2%)、次いで「アジア系」900社(27.4%)、「北米系」792社(24%)となります。

その他(中東系、南米系、オセアニア系、アフリカ系、不明)の合計は100社程度となります。

国別に見ると、「ヨーロッパ系」ではドイツが345社と飛びぬけて多く、次いでオランダ(193社)、フランス(188社)、イギリス(183社)、スイス(181社)の4か国が多くなります。

「アジア系」では、韓国(186社)、中国本土(香港除く:174社)、香港(163社)、シンガポール(162社)、台湾(152社)の5つの地域がほとんどを占めます。インド(17社)、タイ(13社)もありますが多くはありません。

「北米系」アメリカ(760社)、カナダ(32社)で構成されます。

国内参入時期は小売業・サービス業で比較的新しい

参入時期別の外資企業数を見ると、「2003年まで」(53.1%)「2004年以降」(46.9%)で約半数づつとなります。

「2003年まで」に参入した企業の割合が高い業種は「化学」(72社中56社:77.8%)、「はん用機械」(20社中14社:70%)、「非鉄金属」(13社中9社:69.2%)など、いずれも製造業です。

一方、「2004年以降」に参入した企業の割合が高いのは「鉄鋼」(4社中3社:75%)、「食料品」(20社中14社:70.0%)、「木材紙パ」(3社中2社:66.7%)などの製造業もありますが、次いで「サービス業」(535社中329社:61.5%)、「小売業」(169社中103社:60.9%)など、非製造業で比較的多くなっています。

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